改訂で特約が充実して保険料が細分化に
守備範囲が広く、幅広いニーズに答えられる火災保険ですが、代理店と付き合いが無ければ選ぶ決め手に欠ける部分もあります。あいおい損保時代に比べると現在の火災保険は強化されています。
あいおいニッセイ同和損保
- 会社名
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- 設立
- 1918年6月30日
- 資本金
- 1,000億円(総資産3兆7,336億円)
- 運営母体
- MS&ADホールディングス(三井住友系)
- 主要商品
- 火災保険、自動車保険、傷害保険、旅行保険など
- 運営方式
- 代理店
火災保険のスペック
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戸建水災対象
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Web契約
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風災等補償対象
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破損
汚損 -
鍵開け
水回り修理
主な割引制度
- 建物築浅割引
- 長期年払い割引
あいおいニッセイ同和損保の特徴
2010年にあいおい損害保険とニッセイ同和損保が合併して誕生した新しい損保会社です。なおこの合併と合わせて三井住友海上グループホールディングスの完全子会社化されました。MS&ADホールディングスの「AD」はあいおいニッセイ同和損保の意味を持ちます。
あいおい損保時代から国内最大手の自動車メーカーのトヨタとは深い縁のある保険会社で、全般的には自動車保険を主力にしていました。現在はニッセイ同和損保や三井住友海上と提携したことで火災保険も強化されています。
それぞれ損保会社として実績を残した3社のノウハウが集約されていて、代理店型火災保険の中でもバランスの取れたプランと保険料、事故対応力が特徴です。
平均的なスペックではありますが、強みは少ないと表現することもでき、すでにあいおいニッセイ同和損保と付き合いがあるなど、何か理由がないと選ぶ決め手に欠ける部分もあります。
守備範囲が広い
以前は積立火災保険など複数の個人向け火災保険を扱っていましたが、現在はTOUGH(タフ)すまいの保険のみの取り扱いになりました。※別途、(住宅金融支援機構)特約火災保険の取り扱い有り。すまいの保険は基本補償範囲が広く、地震火災費用(5%)が自動付帯になってオプションで最大50%(地震保険と合わせて100%)まで補償範囲を拡充できます。
ほかにもアパートオーナー向けのオプションや、災害緊急時費用など特約も充実しています。TOUGH(タフ)すまいの保険はフルサポート、エコノミー、3種のセレクトプランによる計5通りが用意されていて、プラン選びはシンプルで分かりやすいです。
さらにカギ、水まわりのトラブルや法律相談もできる電話相談窓口など設定できる補償プランが豊富で、自動付帯になる領域も幅広いです。
築浅割引を強化
あいおいニッセイ同和損保は、新規に住宅の購入・建築をされた方向け限定の「マイホームぴたっと」が好評でしたが、2019年10月よりタフ・すまいの保険と統合されています。(実質の廃止)
度重なる改定・プランの廃止によって魅力が薄れていた面がありますが、令和3年1月1日の改定によって築年数別料率(築浅割引)が従来の10年から15年に拡大しました。さらに2022年10月改訂より築年数別料率が25年まで拡大して細分化されています。
最新改定情報
2022年10月1日以降の始期契約向けにパンフレットが改定され、長期契約の最長期間が5年に短縮されました。その他の改定内容は以下の通りです。
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保険料の改定
損害保険料率算出機構の参考純率改定(2021年5月)、および2022年10月までの保険金支払い状況を元に保険料率の改定。特に風水災に関する保険料率が大幅に高まっています。
築年数別料率を25年以下までに細分化。評価額別料率(評価額が高い建物ほど保険料が割安)を導入など。
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補償内容の変更
水濡れ、破損・汚損で保険金請求をする場合は最低5万円の免責金額を支払うルールに変更。風災・雹災・雪災において築15年以上もしくは築年数不明の建物は免責金額を5万円・10万円・20万円から選択できるように改訂。
自宅外家財特約から漁具を除外。事故時臨時費用特約で20%・300万円が廃止されて10%・100万円までに一本化。
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特約の新設
「特定非常災害等避難時一時金特約」を新設して家財の補償に自動付帯。災害発生時など緊急時に避難所への避難1回ごとに1万円の保険金をお支払い。
「建物全壊時一時金特約」を新設。地震保険を付帯して全壊認定された場合、建物保険金額の10%(200万円を上限)を補償する特約を任意で付帯できます。
「ライフライン停止時仮すまい費用等特約」を新設し、電気・ガス・水道の供給が12時間以上継続して停止した場合に1回の供給停止につき仮住まい費用や発電機のレンタル代などの費用の実費が最大10万円までを補償されます。保険の対象に損害が出た場合は従来からある災害緊急費用特約(自動セット)で補償されますが、建物に損害がない場合でも新設された特約で補償を受けられるようになりました。(付帯は任意)
総評
よく言えば欠点の無い。悪く言えば強みの少ない火災保険です。加入者の大半は、代理店から営業をかけられたケースなので、接点のない場合は無理に選ぶ価値は低いですが、契約しても後悔することは少ないでしょう。
守備範囲が広いので、あらゆるニーズに応えられ、自動セットされる特約が充実しています。現在はMS&ADホールディングスの傘下に入っていて三井住友海上の火災保険(GKすまいの保険)と比べて大差ないです。細かい見積の調整は代理店を通じて行う必要があるので、三井住友海上の見積を取るのであれば、あいおいニッセイ同和損保は候補から外してもいいでしょう。
ネームバリューで国内3大メガ損保に劣るネガティブなイメージを持たれている方もいますが、ニッセイ同和損保と合併して三井住友系列になったので、規模や信頼性も3大メガ損保と同等の評価をできます。