安心感と安い保険料を両立する極意
火災保険に入る場合、建物の補償金額は適正値に設定しつつ、家財や水災を見直すことや長期割りなどを活用することで、有事の際はしっかり保険でカバーできつつ保険料を安くできます。
保険料節約のコツ
住宅の世帯主になる以上、火災保険に加入する義務は理解しているけど、保険料はなるべく安くしたいと考えている方も多いでしょう。火災保険は自動車保険や生命保険、医療保険と比べて保険請求する機会が少ないので、保険料の安さを重視する傾向が強いです。
保険料を安くするには、一括見積を利用するなど保険料が安いところを選ぶことが大切ですが、補償内容次第では、無駄を削ってさらにお得にできます。
このページでは、補償プラン選びによって保険料を節約するコツを紹介します。
【重要】過去最大の値上げ
損害保険料率算出機構は各社が保険料の基準にする参考純率を、2022年に過去最大上げ幅の10.9%引き上げました。さらに2022年10月より火災保険の最長契約期間が既存の最長10年から最長5年に短縮されています。
火災保険の値上げ傾向は現在も続いていて、2023年6月に発表された参考純率では過去最大を更新する13%の引き上げが発表されました。大手損保会社は2024年10月に大幅値上げを含めた改訂を予定しているため、火災保険を早期に見直す必要性が高まっています。
値上げの要因は相次ぐ大規模自然災害の影響などに加えて、昨今は物価上昇による影響で住宅を修理するコストが高まっているため、今後も継続的に値上げをされる可能性が高いでしょう。将来的な値上げリスクが高まっているからこそ、満期を迎える時期以外でも火災保険を見直すメリットが大きいです。
保険料を下げる3つの節約方法
保険料節約のコツは以下の3つがあります。
- 補償を薄くする
- 免責金額を設定する
- 割引を活用する
3つのポイントを全て抑えて、自分にあった保険プランを選びましょう。このほかにも、耐火建物など住む家自体が火災保険料の安い条件が揃った家を選べば保険料を安くできます。
保険料が安い条件は多岐に渡りますが、全般的に古い家より新しい家、木造よりもコンクリートの方が火災保険は安くなります。
もし購入や賃貸契約する家の間取りや価格(家賃)などの条件が全く同じであれば、火災保険が安い条件の家を選ぶとよいでしょう。
一般的には、火災保険のために引っ越しや住む家を絞り込むのは効率が悪いので、契約する家の状況に合わせてお得にできる保険会社や補償プランを選びます。
補償を薄くする場合の注意点
保険は補償を薄くすれば保険料が安くなります。建物に対する保険金設定を低くすれば保険料を簡単に安くできますが、全焼など大ダメージを受けたときに保険で修理・建て替え費用を工面できなければ意味がありません。
保険料を節約するときは、保険設定金額は建物の評価額など適正値に設定し、家財・水災・風災・盗難やその他の付帯補償を見直しましょう。
水災の必要性
火災保険の中でも特に水災は外してもリスクが少ない環境が多いです。
川や海、山が近くになく、高台の立地、マンションの2階以上などは水災リスクがほとんどありません。洪水被害のリスクを感じない場合は、まずは水災を外してしまいましょう。水災の必要性を確認するときは自治体の出している洪水ハザードマップを活用すると確実です。
家財保険の必要性
家財保険については、家財の内容によって考えましょう。家電や家具を全て新品で揃えた場合は家財保険に入っておいた方が安心です。1人暮らしで最低限の荷物だけで生活しているのであれば、保険料節約のために家財保険を外してしまってもいいでしょう。
仮に家が全焼で家財が全滅すると、想像以上に再調達費用は高くなります。保険会社ごとで計算方法は異なりますが30代で18歳未満の子供が2人いる場合で家財保険の適正値は1,000万円前後です。
ただ、家財保険は細かい特約を除いて、基本的には火事等で家が大ダメージを負った場合しか活用する場面はありません。ほかにも落雷で家電が壊れた場合も補償対象になりますが、滅多になるものではありません。
家財保険に加入していなくても、住む家(建物)さえ補償してもらえれば、家財は身内に頼るか中古品で揃えればなんとか乗り切れるものです。有事の際は手間暇をかけて中古品を探すか、周囲に頼って乗り切ると割り切れるのであれば、家財保険は外してしまってもいいでしょう。
また、節約テクニックとして家財保険を100万円~200万円の少額設定する方法があります。
年齢や世帯人数によっては全額の家財はカバーできないですが、単発で損害の出た時には100万円程度でも十分な補償を受けられます。
家が全焼になると200万円程度の家財保険では足りないですが、落雷による故障・子供がテレビを倒した・地震によって家財が取れて壊れるといった被害であれば、100万円程度の家財保険でも入っているだけで全然違います。
全焼した際も100万でも保険金が出れば最低限必要な家電と家具を揃えられるので家財に入らないよりも安心で保険料も最低限に抑えられます。
風災の必要性
風災で多い保険請求事例は台風など強風時に飛来物によって窓ガラスが割れることです。台風が多い地域は風災に加入する必要性が高いです。
風災でガラスが破損する確率は10年に1回あるかないかです。10年に1回の割合でガラス交換に保険を使った場合、保険料と修理費用を天秤にかけるとトントンか風災でプラスされる保険料が高いくらいです。窓ガラスのことだけを考えるのであれば、風災は外してもいいのですが、家の外壁や屋根などで大規模な修繕が必要な損傷を受けるリスクもあります。
風災に関しては、使用頻度が高く高額な修理を伴うケースもあるので、補償をつけて免責金額で保険料を節約するとよいでしょう。
その他付帯補償や特約
火災保険は火災・風災・水災が3大補償ですが、補償範囲はどこの保険会社でも大差はありません。最近の火災保険は定番の補償とは別の付帯補償が多様化していて、各社で競争や差別化が行われています。
盗難や再発防止費用特約など補償を充実させようとするとキリがありません。保険料を節約するには、付帯補償の必要性と保険料の差額をよく考えて判断しましょう。
カスタマイズ性を考慮する
火災保険の商品によっては、風災や水災を外せないなど、一定の補償がセットになっている場合があります。
なるべく、補償の有無を個別に設定できるカスタマイズ性の高い保険を選びましょう。
免責設定をする
免責金額とは、保険請求する際の自己負担金です。
たとえば免責10万円に設定した場合、保険を使用すると10万円の自己負担金が発生します。平凡な窓ガラスが割れて、安いガラス修理業者を利用して10万円以下で交換できるのであれば、保険を使わない方がいい状況になります。
免責設定は、火災、風災、家財など個別に設定できる保険商品が増えています。ちょっとした修理費用であれば自力で対処するという心構えがあれば、免責金額を設定することで保険料を節約できます。
また、保険会社によっては5千円や1万円など免責金額を低く設定できるので、保険料を安くしたい場合は少額でもいいので免責アリにしましょう。ある程度の突発的な修理や補償などで対処できる貯金がないのであれば、免責は0円もしくは少額設定しておきましょう。
持ち家など長期契約する場合は、将来子育てや仕事の変化などで資金面の余裕が変化するかもしれないことも踏まえて免責金額を考えましょう。賃貸など短期契約で、大きな損害しか補償されないプランにする場合は、ある程度の貯金があることを条件に設定可能金額の中で高めの免責金額にする方法をお奨めします。
火災保険の割引制度
保険料節約でもっとも活用しやすい割引が長期割です。契約期間を1年ではなく、10年や20年など長くすればするほど割引率は大きくなります。一般的な火災保険では最長5年まで対応しています。(35年契約は2015年9月に廃止、10年契約は2022年9月に廃止)
賃貸の場合は契約期間に合わせて火災保険の加入期間を設定する必要がありますが、持ち家の場合は3~5年の長期契約する需要が高いです。一括払いや年払いなど予算や支払い方法、今の家にどのくらいの期間住む見込みなのかを考慮して保険期間を考えましょう。
保険は新しい補償プランや安い保険会社の登場、保険料率の変更など保険商品そのものに変化が出るケースもあります。
20年や30年などの長期契約している人は、定期的に火災保険を見直すことも大切です。ただし、6年以上の長期契約は今の契約を解約して他社へ切り替えることを慎重に検討してください。(火災保険は値上げ傾向が続いていて最長契約期間が短縮されているため)
長期割引以外にも火災保険は商品ごとで様々な割引制度を用意しています。火災保険割引制度の一例を紹介します。
- ノンスモーカー割引
- ホームセキュリティ割引
- オール電化割引
- 発電システム割引
- 団体割引
保険会社によって適用になる割引が変わってくるので、より割引の恩恵が大きくなる保険会社を探してもいいでしょう。
ただし、割引率が高くても元の保険料率が高いと意味がありません。まずは割引率をあまり気にせずに、複数社の見積を取って、保険料の総額で比較しましょう。
プランだけでなく保険会社も見直す
ここまでで紹介した保険料を節約するコツは補償プランを適切にするものです。無駄な補償を省いて効率的に補償を薄くすることや、免責設定、割引制度の活用をすることは大切です。
火災保険料を節約するには現在契約している内容やプランを見直すだけではなく、選択する保険会社を変えることにより、手厚い保証を維持しながら保険料を節約できる場合もあります。保険料は保険会社ごとに補償内容や立地・建物の形状で料率が異なり、適用される割引条件や割引率も変わってきます。
複数の保険会社から見積を取れば、補償を薄くしたり免責をつけたりしなくても保険料を安くできる場合があります。どこの保険会社が1番安いかは実際に見積を取ってみないと分からないので一括見積を活用して複数社の見積を比較すると便利です。