電気的・機械的事故

火災保険の中には年間千円でも利用価値が低い特約も

提案する男女
一戸建てが立ち並ぶ住宅街

火災保険の中には年間千円でも利用価値が低い特約も

投資家や大家に人気の設備補償特約

エレベーター・エスカレーターをはじめ、太陽光パネル・給湯器などの自然故障を補償する特約が火災保険になりますが、個人向けの住宅ではメーカー保証のある設備が中心で必要性はほとんどありません。

電気的・機械的事故

火災保険では基本補償ではなく、特約として電気的・機械的事故を補償します。大手代理店系損保から通販系まで火災保険で広く扱われています。エアコンや給湯器、エレベーター、エスカレーター床暖房など大きな設備が壊れた時に補償がつくのであれば魅力的に感じるかもしれないですが、個人の居住用火災保険ではお奨めできない特約です。

主な補償範囲

  • お風呂の給湯器の故障
  • 床暖房の故障
  • エアコンの故障
  • エレベーターやエスカレーターの故障
  • ボイラー設備の故障
  • 太陽光発電機やエコキュートの故障

個人宅単位であるものからマンションや施設の共用部分に該当するものも対象になります。建物と直結している電化製品や設備が対象でテレビなど家庭用コンセントに繋げるだけで使えるような家電は補償対象外です。

単価が大きい洗濯機や冷蔵庫の故障も対応してもらえないので、長期保証を付けられる販売店を選びましょう。

個人にはお奨めできない理由

おすすめしない女性

火災保険の電気的・機械的事故特約は免責費用の設定が必須で、設置してから10年以内の設備に限定されるなど条件が付くことが多いです。新築や、床暖房や給湯器など大掛かりな設備は購入時に安い掛金で10年保証を付けることもできます。(無償で10年保証付いてくるケースもあります)

つまり、わざわざ火災保険の電気的・機械的事故の特約をつけなくても、設備を購入したメーカーや販売店の保証さえあれば十分です。補償範囲がエレベーター、エスカレーターになっていることを見れば分かりますが、賃貸住宅やマンション、アパートの管理をしている投資家や大家さんに人気の特約です。

経年劣化による故障は対象外

電気的・機械的事故には経年劣化による故障は含まれていません。保険金請求をする場合は故障した設備の写真提出を求められて、サビや腐敗、パッキンの劣化など状態が悪いと判断されると保険金支払い拒否や購入時の証明書類の提出を求められます。

新品購入してから10年以上経過している場合や、劣化症状が確認できて購入時期不明であれば、ほぼ間違いなく火災保険では補償されません。

また、新しい物でもネズミに配線をカジられた場合や、管理やメンテナンスの不備で劣化症状が著しい場合も経年劣化と判断されて保険金の支払いを拒否されるケースがあります。

中古住宅を購入する方は、設備の長期補償を求める方が多いですが、各種設備の導入時期が不明な場合は保険金請求できる可能性が低いので注意しましょう。

メーカーや販売店の保証が付いている場合は適用外

あくまでも故障した際の損失をカバーするための特約です。メーカーや販売店の保証で修理や交換対応してもらえる場合は、電気的・機械的事故特約から保険金が支払われることはありません。

つまり、購入して10年以内で購入時の保証期間が短かった設備のみ補償対象になります。電気的・機械的事故特約の補償品目に該当するものは高価で大掛かりな設備のため、長期保証が付いてくるものが大半です。一般的な個人の居住用住宅やマンションでは、保険適用になる事例そのものが限定されてしまいます。

購入時に長期保証を付けることを前提にすると、電気的・機械的事故特約をつけたけど、全く意味のないものになってしまう場合もあります。特約付帯のための保険料相場は年間千円程度ですが、本当に付帯する価値があるものなのか、気になる設備の保証期間を含めて慎重に検討しましょう。

手厚い補償プランにしておかないと特約をつけられないことも

建物電気的・機械的事故への補償は特約なので、基本補償とは別に付帯するか選べます。しかし、保険商品によっては盗難、落下・飛来、水濡れなどを含めた手厚い補償のプランに設定しておかないと特約設定できないケースもあります。

火災リスクと風災リスクのみの最低限の基本補償の場合、建物電気的・機械的事故特約を設定できない場合もあるので注意しましょう。特約設定のルールは保険会社ごとで異なります。

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