新築時にかかった建築価格より安くてもOK
戸建て住宅の火災保険見積比較をした結果、建物価格を1,800万円から1,000万円に減額すると10年分の保険料が13万円以上安くなります。全焼になった時に工務店やローコスト住宅で建築すると割り切れるのであれば、建物価格を安く設定する方法があることを覚えておきましょう。
建物価格を再建築価格より安くする
建物価格の設定によって火災保険料は大きく変わってきます。
新築を購入した場合は充実した補償にすることをオススメしますが、古い家や中古を購入した場合は再建築価格より安く、最低限の再建築・現状回帰できる金額にする方法があります。
建物価格を高額に設定して基本補償を薄くするのであれば、最低限の建物価格にして充実補償にする方法も比較検討してください。
建物価格の設定方法
火災保険の建物補償は時価と再調達価額(新価)の2種類があり、主流になっているのは再調達価格(新価)です。時価は減価償却(経年劣化)を考慮した現在の価格、再調達価格は新築時もしくは地域ごとの相場に基づいて同等の設備の建物を再建築できる価格です。
火災保険の基本的な仕組みはTOPページで紹介しています。
再調達価格(新価)の場合、地域と延床免責に応じた最低基準を設けられていますが、相場の範囲内かつ新築時の価格以下で自由に設定できます。
戸建て住宅の場合、建物価格に1,000万円前後の設定幅があります。加入者の価値観にもよりますが、古い家の場合は建物のグレードを下げても新築に再建築できれば実質のアップグレードになる場合があります。
建築価格の相場
建物価格は都道府県ごとに多少の違いはありますが、おおよその目安は以下の通りです。
戸建て、2階建て、85平米(25.7坪)
- 工務店
- 1,000万円~(38万円/坪)
- ローコスト住宅
- 1,250万円~(48万円/坪)
- 中堅ハウスメーカー
- 1,500万円~(58万円/坪)
- 一流ハウスメーカー
- 2,050万円~(80万円/坪)
※基礎工事含む、外溝工事・配管工事、塀等は含まず
マンション、70平米(21.2坪)
- 低コストメーカー、エントリー装備
- 480~600万円
- 中堅メーカー、中間グレード装備
- 900万円前後
- 一流メーカー、ハイグレード装備
- 1,100万円前後
(詳細)
- キッチン
- 100~250万円
- 風呂
- 100~200万円
- 洗面所
- 30~60万円
- トイレ
- 30~50万円
- 建具
- 30~100万円
- 基本工事(収納・壁など)
- 100~200万円
- 床
- 50~150万円
- 壁紙
- 40~90万円
デザイナーズ物件はさらに高額になる場合もあります。こだわりの室内空間や設備のある場合は、適正な価格設定にしてください。
現在の設備ではなく、火災で再建築が必要になった時に設備にこだわりたいのかを考えて検討しましょう。
全焼リスクで決める
建物価格の満額請求できるのは、主に火災で全焼になった場合です。火災保険の主たる目的になる補償ですが、火災保険全体で全焼による保険金請求する件数は少ないです。
高齢者や喫煙者のいる家庭、石油ストーブの使用可否など自分の家の全焼になるリスクを考えてみてください。再生活できるだけの補償を付けておく必要がありますが、全焼になったらグレードを下げてでも再生活をスタートできればいいと考えるのであれば、最低限の設定金額で問題ありません。
また、住宅火災の出火原因でもっとも多いのは放火および放火の疑いです。家の立地などから放火リスクも踏まえて検討してください。
集合住宅の場合は同じ建物内の火災から燃え移るリスクが高いです。高齢者の住人が多い場合や高層階は燃え移りによる火災リスクが高いです。
消防庁発表の出火原因ランキング(平成28年1月~平成29年12月)
- 1位
- 放火と放火の疑いの合計 11,647件
- 2位
- たばこ 7,195件
- 3位
- コンロ 6,168件
- 4位
- たき火 4,981件
全焼リスクと小さい災害・事故リスクのどちらを重視するか?
火災保険の見積を取る際に、建物価格は1パターンの見積比較しか取らない人が多いです。火災保険料は建物価格によって大きく変わってきます。
高額な建物価格の設定にした結果、高額な保険料がネックになって基本補償を薄くしてしまう人が多いです。全焼リスクを重視したい人は建物価格を高めに設定しておくべきですが、基本補償を妥協したり高額な免責設定にするなら、建物価格を妥協する方法も比較検討してみてください。
火災保険の見積事例
- 保険会社
- 損保ジャパン日本興亜
- 地域
- 埼玉県
- 構造
- H構造(木造、戸建て、省令準耐火でないもの)
- 築年数
- 9年
- 家財
- 600万円
- 地震保険
- なし
- 契約期間
- 10年長期一括払い
見積① 414,810円
- 建物価格
- 1,800万円
- 基本補償
- フルカバー(火災、水災、風災、水濡れ、盗難、騒じょう、破損、汚損)
- 免責
- 0円
- 臨時費用
- 100万円(30%)
見積② 279,740円
- 建物価格
- 1,000万円
- 基本補償
- フルカバー(火災、水災、風災、水濡れ、盗難、騒じょう、破損、汚損)
- 免責
- 0円
- 臨時費用
- 100万円(30%)
見積③ 295,460円
- 建物価格
- 1,800万円
- 基本補償
- エコノミー(火災、水災、風災)
- 免責
- 10万円
- 臨時費用
- なし
上記の3パターンの見積の場合、フルカバータイプでは建物価格を1,800万円から1,000万円に下げると10年分の保険料は134,570円節約できます。建物価格1,800万円のエコノミー、免責10万円に設定するよりも建物価格を1,000万円に抑えてフルカバー、免責なし、臨時費用ありにした方が安いです。
多くの人は火災保険の見積を比較する際に①と③の比較しかしません。見積②や他の価格設定、補償内容の組み合わせを検討すると同じ予算の中でも補償プランの選択肢が広がります。建物補償はグレードを下げてでも再建築できる金額設定にしないと火災保険に加入する意味が半減します。
新築時の建築価格よりも安く設定する場合は、地域の建築価格の相場をリサーチした上で慎重に検討してください。
加入中の火災保険を見直す
建物価格は不動産会社や保険代理店のいいなりで高額に設定して加入している方が多いです。現在加入中の火災保険でも、建物価格や補償プランの変更は可能です。
当サイトでは、大手ハウスメーカー建築の中古戸建て住宅を購入した方が10年契約の3年経過時点で建物補償の設定額を見直して57,000円の保険料還付を受けた方の体験談を紹介しています。